2025-09-29 17:42:08 配信

危険運転の数値基準案を提示 法務省「危険運転致死傷罪」見直しで

 悪質な交通事故に適用される「危険運転致死傷罪」の見直しに向け、法務省はアルコール濃度や法定速度以上の速さでの危険運転についての具体的な数値基準案のたたき台を法制審議会の部会に提示しました。

 29日に提示されたたたき台では飲酒運転でのアルコール濃度について、呼気1リットルにつき0.5ミリグラム以上または0.25ミリグラム以上などとする案が示されました。

 高速度での運転については最高速度が60キロ以下の道路では、その速度が40キロまたは50キロを超えた場合、最高速度が60キロを超える道路ではその速度を50キロまたは60キロを超えた場合に適用する案が示されています。

■たたき台提示までの経緯
 「危険運転致死傷罪」を巡っては適用要件が曖昧との指摘が事故の遺族らからありました。

 法務省は去年2月に適用条件などについて見直しを議論する検討会を立ち上げました。

 有識者らの議論を経て検討会は去年11月に速度やアルコールの測定値について基準を設けることが考えられるとするなどの報告書を取りまとめました。

 こうしたことを受け、鈴木法務大臣は今年2月に適用要件の見直しについて法制審議会に諮問しました。

 3月に部会の初会合があり、今月29日までに5回開かれました。

■「危険運転」最近の判決は
 去年9月に埼玉県川口市で一方通行の道路を時速125キロで逆走し、男性が死亡した事故で、さいたま地裁は今月19日、危険運転致死罪に問われた中国籍の男(19)に懲役9年の判決を言い渡しました。

 裁判では男が飲酒した状態で時速125キロで一方通行の道路を逆走したことが「危険運転」にあたるかが争点でした。

 さいたま地裁は判決で「狭い一方通行の道路を時速125キロの速さで走るのは進行を制御することが困難な運転である」と指摘し、危険運転致死罪の成立を認めました。

 そのうえで「被告人は必要性も緊急性もないのに高速度で運転し、落ち度のない被害者の生命が奪われたのは理不尽である」として、検察側の求刑通り懲役9年を言い渡しました。

 男の弁護人は29日付で控訴しました。

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