2025-08-09 16:19:41 配信
セルフレジを悪用した万引き相次ぐ 商品を重ねて…スキャンのフリなど巧妙な手口

■“セルフレジ万引き”手口巧妙化
静岡県内にあるスーパーのセルフレジに設置された防犯カメラの映像。客の女がセルフレジで会計を行おうとしているところだ。
画面右側にあるのが、スキャン前のカゴ。そして、左側に置いているのはスキャン済みの商品を入れるカゴだ。
スキャン前のカゴにはコメやパンなど4点の商品が入っている。まず、パン2点をスキャンすると、女は不審な行動に出る。コメをスキャンせず、そのままレジの上に置いた。残りの商品をスキャンし終わり、レジの上に置いたコメをスキャンするかと思ったら、そのままカゴに入れたのだ。コメの料金は支払わず、店を後に…。セルフレジを悪用した万引きの瞬間だ。店はこの映像を元に、警察に被害届を出したという。
最近、人手不足などを理由に増えるセルフレジ。この店では、2年前から導入している。
しかし、客自身が商品をスキャンするという仕組みを悪用した、“セルフレジ万引き”の被害に頭を悩ませていた。
これは店側で確認した、万引きの発生件数。セルフレジを導入した翌年になると万引きが急増。およそ4倍に増加したという。
スーパー「田子重 登呂田店」 近藤将也店長
「推定ですけれども、約1年間で500万円の被害が出ております。許せないですね」
セルフレジを悪用した万引きの手口は、巧妙化している実情が…。
食パンをスキャンしようとしている、この男。手元をよく見てみると、食パンの下に、別のレトルト商品を重ねて持っている。
そして、2つの商品を重ねたまま、107円の食パンだけをスキャン。男は225円のレトルトを商品スキャンせず、万引きしたのだ。
これは別の映像。レトルト商品を万引きした男が、再び、セルフレジに…。今度は、弁当を2つ重ね、1点のみをスキャン。下に隠したのり弁当、387円を万引きした。
男は驚くことに7日間連続で、同様の手口のセルフレジ万引きを繰り返していたのだ。被害額はおよそ3万円に上ったという。悪質性が高いとして、店側は警察に通報。この映像が決め手となり、男は検挙されたという。
東京都内にある店舗では、セルフレジ万引きの別の手口をカメラが捉えていた。
深夜、店に現れた男。入り口付近にある280円のクッキーを買い物カゴに入れた。
男はその後も商品を選び、クッキー3つとマフィン2つ、そして、20食入りの豚汁を買い物カゴに入れセルフレジへと向かった。
商品をスキャンしているようだが、映像をよく見てみると…商品をスキャンした時に鳴る、「ピッ!」という音が鳴っていない。バーコード読みこませず、スキャンしている「フリ」をしているのだ。
店長
「ショックというか怒りというか、許せない気持ちがあります」
スキャンする「フリ」を続けた、この男。被害額は2698円に上った。
店長は先月、被害届を提出し、警察が窃盗事件として捜査している。
■実際にあった手口「単品スキャン」「もやしパス」
セルフレジの普及に伴い、増加しているという万引きの件数。実際にあった巧妙な手口を見ていく。
これまで、万引きGメンとして、6000人を超える万引き犯を捕捉してきた、現役の保安員・伊東ゆう氏によると、セルフレジを悪用した実際の手口の中には、「単品スキャン」や「もやしパス」と呼ばれるものがあるという。一体、どういった手口なのだろうか。
実際に検挙されたケースを見ていく。
まずは、「単品スキャン」。複数をセットで販売している商品が狙われるそうだ。通常、このような商品を購入する場合は、側面などのバーコードをスキャンしなければならないのだが、単品のバーコードを表示させ、そのバーコードをスキャンさせるのだ。これが「単品スキャン」と呼ばれ、1本分の値段しか払わないという悪質な手口だ。
続いては、「もやしパス」。例えば、天然うなぎのかば焼き、仮に3000円とする。これをスキャンさせる時、過去に実際に購入した20円のもやしのバーコードをスキャンさせ、実際の値段より安い値段で商品を手に入れるという手口だ。
このような巧妙な手口を駆使し、万引きが行われているというが、万引きGメンの伊藤氏は、「いくら巧妙な手口であっても、セルフレジという限定的な場所での万引き行為は、防犯カメラなどですべて記録されていて、いつか絶対に特定される」と指摘する。
改めてだが、この2つの手口も、実際に検挙されているということだ。
そして、万引きで摘発されると、窃盗罪にあたり、10年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金となる。決して許される行為ではない。
■AI活用!防犯・最新技術
こちらの会社では人口知能=AIを使って万引き対策をするシステムを作っているという。どういったものなのだろうか。
悪質なセルフレジ万引きを、AIで撃退するという最新の「防犯システム」、その実力とは?
このシステムの要は、AIによる画像認識だ。商品を持っていない手だと、このように何も認識しないのだが…。商品を手に持つと、AIが認識。緑色の枠が表示されるシステムとなっている。これにより、商品のスキャン漏れを検知できるという。
実際に商品を持った手で、バーコードをスキャンできなかった場合は、画面に「再度登録を行ってください」という警告の文字が表示される。
さらに、バーコードを隠していかにも会計したように見せかけると、赤く表示され、スキャンしたフリを見抜くことも可能だ。
アースアイズ 山内三郎代表取締役
「万引き行為をやろうとしていたのか、もしくは故意ではないのに、たまたまスキャン漏れになってしまったということもあると思います。その両方を防ぐことができます」
このシステムは、今年から全国のスーパーなどで設置が行われていて、導入したことで、スキャン漏れの被害を3分の1以下に抑えられた店もあるという。
開発した企業は、このAIを使ったシステムによって、万引き自体が生まれない環境を作りたいと意気込んでいる。
山内代表取締役
「(私たちは)事件や事故を未然に防ぎましょうということをテーマにしている会社です。(万引き犯を)捕まえるということではなくて、(万引きが)できないよねということを認識していただくというような仕組みとして普及ができればいいなと」
(「ワイド!スクランブル サタデー」2025年8月9日放送分より)
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