2025-06-22 20:05:43 配信

公認と非公認 自民党候補者の明暗 一方で内部から「モラルがない」批判が出る場面も

 今回の東京都議会選挙では“政治とカネ”の問題で都議会自民党の幹事長経験者6人が非公認で戦うことになりました。同じ選挙区で自民党公認と非公認の候補者がいる選挙区は3カ所で、非公認候補のもとに自民党の国会議員が応援演説に駆け付けたことに対しては、自民党の内部からも「モラルがない」と批判の声が出ました。

 「仲間の区議会議員が応援に来ない。今日も来ていない。それは初めての経験」。

 選挙戦終盤を迎えた19日、東京・世田谷区の下北沢駅前でこれまで都議を7期務めた三宅茂樹候補(75)は取材にそう答えました。

 都議会自民党を巡っては1月にパーティー券収入を政治資金収支報告書に記載していなかったいわゆる“政治とカネ”の問題が発覚。

 記載していなかった都議らは26人に及び、三宅候補を含めた幹事長経験者6人は今回の都議選で公認しないことが決まりました。

 陣営関係者や自民党関係者によりますと、三宅候補の世田谷区では「非公認」となった三宅候補については自民党区議らも表立っての協力はしないことが決まったといいます。

 この日の街頭演説でも立ち止まる人はまばらな状況でした。

 三宅候補は選挙戦について「ギリギリじゃないでしょうかね。楽勝というのは全くないかな」と答えました。

 同じ世田谷区で戦う自民党「公認」は現幹事長の小松大祐候補(47)。

 “政治とカネ”について尋ねてみると「期間中に入ってからは(有権者から聞かれたことは)一度もないですね」と答えました。

 一方で「モラルがなっていない」と都議会自民党のなかからも批判の声が出ている場面がありました。

 自民党都連会長の井上信治衆院議員が選挙戦初日に「非公認」の三宅候補らの応援演説をしたことに対してです。

 井上氏は「個人として応援した」「初日だったのは各陣営との日程の調整の結果だった」と取材に説明しました。

 また、別の選挙区でも。

 選挙戦終盤の20日、自民党「非公認」の鈴木章浩候補(62)のJR大森駅東口の演説には多くの聴衆が集まっていました。

 この日は「古くからの友人」という高市早苗・元総務大臣が弁士として訪れていたのです。

 大田区議らも選挙カーの上で盛り上げていました。

 ほぼ同時刻には同じ大森駅の西口で自民党「公認」の湯本良太郎候補(49)も政策を訴えていましたが、足を止める人はわずかでした。

 大田区のある自民党関係者は「湯本さんは公認だから大丈夫だろうけど、危ない方の鈴木さんを応援しないと…」と話していました。

 「非公認」にも関わらず、まるで「公認」のように自民党の国会議員が応援演説に立つ状況について、ある自民党関係者は「自民党は有権者から“けじめ”がついたかどうかを見られているのに…」とこぼしていました。

 他の関係者は「公認候補よりも先に非公認候補の応援に行くのはモラルがない」ときっぱりと批判しました。

トップへ戻る