2026-02-25 18:20:46 配信

「日野町事件」服役中に死亡の元受刑者の再審開始へ 最高裁

 42年前に滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件で最高裁は無期懲役が確定し、服役中に死亡した元受刑者の再審=裁判のやり直しを認める決定をしました。

 阪原弘元受刑者は1984年に日野町で酒店の女性店主(当時69)を殺害し、金庫を奪ったとして強盗殺人の罪に問われ、裁判では無罪を訴えましたが、無期懲役が確定し、服役中の2011年に75歳で死亡しました。

 その後、遺族が再審請求をしていて、大津地裁は2018年に、大阪高裁も2023年に再審を認めていました。

 検察側は特別抗告をしていましたが、最高裁は今月24日付の決定で特別抗告を退け、再審を認めました。

 今後、大津地裁で再審が開始され、無罪が言い渡される公算が大きくなりました。

 無期懲役で服役中に死亡した人の再審が開かれるのは戦後初とみられます。

 最高裁の決定について最高検は「特別抗告が棄却されたことは遺憾であるが、大津地検において、改めて証拠関係を精査したうえ、大津地裁で行われる再審公判に適切に対応するものと承知している」とコメントしました。

■事件の経緯一旦認めるも無罪主張に転じる

 1984年12月に滋賀県日野町の酒店店主の女性(当時69)が行方不明になり、翌年1月に殺害されているのが見つかりました。

 その年の4月には店の金庫も日野町内の山林内で発見されています。

 警察は強盗殺人事件として捜査し、1988年3月に酒店の常連客であった阪原弘元受刑者を強盗殺人の疑いで逮捕しました。

 阪原元受刑者は逮捕当時は容疑を認めていましたが、裁判では一貫して無罪を主張しました。

 ただ1審、2審ともに無期懲役の判決が言い渡され、2000年に最高裁で有罪判決が確定しました。

■新証拠ネガフィルム「自白の信用性に動揺生じる」

 2012年に起こされた2回目の再審請求では阪原元受刑者が遺体や金庫の発見現場に捜査員を案内する様子を撮影した写真のネガフィルムが検察側から開示されました。

 特に遺体の発見現場についてのネガを確認すると、阪原元受刑者が遺体に見立てた人形を持っていない状態の写真があるのに捜査報告書では人形を持った状態の部分のみ記載されていました。

 これについて大阪高裁は「捜査官による誘導の可能性も含め、任意に行われたか疑問を差し挟む余地が生じた」と指摘しています。

 そのうえで「自白の基本的根幹部分の信用性を認めた点にも動揺が生じた」としています。

■再審まで長い道のり制度見直しの動きも

 「日野町事件」の再審請求を巡っては2018年7月に1審の大津地裁が開始決定を出してから、最高裁の決定まで7年半余りが経過しました。

 検察側は地裁、高裁の決定に対し、いずれも不服申し立てをしています。

 裁判所が出した再審を認める決定に対して検察官は不服申し立てをすることができますが、審理の長期化につながるとして問題視する声も出ています。

 再審制度の見直しについて、法務大臣の諮問機関である法制審議会は今月12日に要綱を平口法務大臣に答申しました。

 要綱では裁判所の判断で検察に証拠開示を命じる制度などが新設されましたが、再審開始決定に対する検察の不服申し立ての禁止は採用されませんでした。

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