2025-06-14 19:11:03 配信

SNS選挙の注意点は 新設「ファクトチェック編集部」に密着 都議選期日前投票始まる

 東京都議会議員選挙は14日から期日前投票が始まりました。関連動画は再生回数が1億回を超え、SNSを活用した選挙戦が展開されています。有権者が注意すべきことを取材しました。

■東京都議選 期日前投票始まる

 いよいよ熱戦がスタートします。14日から始まった東京都議会議員選挙の期日前投票。過去最多となる295人が立候補しています。有権者である都民はどのように情報を得て1票を投じるのでしょうか。

東京都民(40代)
「前情報はSNSとかが多い」
「複数のXだけじゃなく、本人が発信している情報もたくさんあるのでそういうのも見たりとか」

 今や選挙でも常識となったSNSを使った情報発信。戦いはすでに告示前から始まっているといいます。

選挙ドットコム 鈴木邦和編集長
「5月1日から31日までの1カ月間、都議選直前の1カ月間を集計した結果で、全体ですでに1億回再生を超えている」

■SNS選挙の注意点 「エコーチェンバー」とは

 各候補はSNS戦略を強化しているといいます。ただ、注意するポイントもあるそうです。

選挙ドットコム 鈴木邦和編集長
「やっぱり気を付けなきゃいけないのは、エコーチェンバーだと思う」

 「エコーチェンバー」とは、意見が近い者同士の“閉鎖的なコミュニケーション”で偏った意見が増幅されてしまう状況のこと。同じような意見の動画を見続けると、それが一般的な意見と誤解してしまう可能性があるのです。

選挙ドットコム 鈴木邦和編集長
「ちょっと陥りそうだなと思ったら違う政党の動画を見てみるとか、自分で意識的にやるのは非常に重要」

 さらに注意が必要なのがSNSの誤情報などです。

東京都民(33)
「誰が投稿しているかが分からないものは見ない。何が本当かちょっと分からないので」

■新設「ファクトチェック編集部」に密着

 メディア側も対策を始めました。

朝日新聞 ファクトチェック編集長 仲村和代さん
「『ファクトチェック編集部』というのが新しくできます。去年の選挙を巡って色んな出来事があり、ネット上に間違った情報が流通している状況のなかで、報道機関として何ができるかということで」

 ファクトチェックに特化したチームができました。

朝日新聞 ファクトチェック編集長 仲村和代さん
「やっぱり読者の人から『ファクトチェックをやってほしい』『力を入れてほしい』という反響がものすごくありました」

 選挙中にSNSなどで出回る情報が正しいものかどうか有権者が判断に迷うケースが多く、メディア側に早急な対応が求められています。作業は実際、どのように行われるのでしょうか。

朝日新聞 ファクトチェック編集長 仲村和代さん
「色んな人がXとかに投稿したりという内容なんですけど、石破首相が新たに通勤手当に課税をするかのような言説が広まっていたので」

 まず、ネット記事のもとになった発信者をたどり、個人のSNSだったことを確認。さらに、担当部署である経済部へ。

朝日新聞経済部 村松デスク
「今回は、石破茂総理が就任してからの国会議事録の中で、『通勤手当に新たに課税する』という部分がないかどうかをまずチェックしました」

 まずは石破総理の過去の発言をチェック。さらに、財務省や厚生労働省に問い合わせ、通勤手当の課税の扱われ方も確認するなど二重三重にファクトチェックを行います。総理自身に質問するケースもあるといいます。

 結果は、新聞の紙面だけではなくウェブサイトでも掲載されます。少しでもユーザーの目に留まるように見出しの文言が話し合われます。このようなやり取りを繰り返した後、何人もの目でチェックも行います。

 そして検証の結果は、ミスリード。実際に国会では、通勤手当の扱いについて…。

石破茂総理大臣
「よく精査をして、結論を得る努力を致してまいります」

 政府方針として新たに通勤手当に課税するとまでは答弁はしていないことから、ミスリードという判断になりました。

 ネットに流れる膨大な情報。ファクトチェックの優先順位は…。

朝日新聞 ファクトチェック編集長 仲村和代さん
「影響力の大きさ。社会的な影響があるかどうかということを取材班で議論をして、対象を選ぶようにしています」

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