2025-09-08 13:07:02 配信

石破総理が辞任表明 「関税交渉に区切りがついた今こそがタイミング」

 石破茂総理大臣が7日夕方、緊急記者会見を開き、自民党総裁を辞任し、退陣する意向を表明しました。選挙で大敗した後も、続投にこだわり続けていた石破総理大臣ですが、考えを変えた理由は何だったのでしょうか。

■関税交渉「メドついた」

石破総理大臣
「自由民主党総裁の職を辞することといたしました。新総裁を選ぶ手続きを開始していただきたい。時期は私が言及すべきことではありませんが、来る総裁選挙には出馬いたしません」

 自民党総裁選を前倒しするか否か、その意思確認を翌日に控えるなかでの突然の辞任でした。決断の理由について、石破総理はこのように語りました。

「かねてより私は『地位に恋々とするものではない』と、やるべきことをなした後に『しかるべきタイミングで決断する』と、このように申し上げてまいりました。米国関税措置に関する交渉にひとつの区切りがついた今こそが、しかるべきタイミングであると考え、後進に道を譲る決断をいたしました」

 5日、日本の自動車関税を15%に引き下げる大統領令にトランプ氏がサイン。日本がアメリカに投資する5500億ドル、およそ80兆円についての覚書も、閣僚間で署名されました。

 この直後、続投する方針に変わりがないかを聞かれた石破総理は「それは別に関わりがあることではありません」と否定していましたが、7日の会見では、これが辞任の理由だったことを明かし、ずっと言いたくても言えなかったという心情を吐露しました。

「『辞めますよ』と言っている政権と、誰が本気で交渉するのかということでございます。『辞任』というようなことは間違っても、口の端に乗せるべきではありません。そのような国益に反することはできません。口が裂けてもそんなことは言えないということです。それに“メドがついた”。そういう時期が決断のタイミングだった」

■菅氏&小泉氏 2時間の説得「自民党割れてしまう」

 今回の石破総理の辞任には、小泉進次郎農水大臣が大きく関わったとみられています。

 6日午後8時25分、自民党の菅義偉元総理と小泉農水大臣を乗せた車が総理公邸に入りました。40分後の午後9時5分に菅氏は公邸を後にしましたが、小泉氏はその後も午後10時27分まで、2時間ほどにわたって石破氏と過ごしていました。

 関係者によると、進退について自ら判断するように、こう説得したそうです。

「党を割ってはいけない。前倒し賛否の投票をすることになれば自民党が本当に割れてしまう」

石破総理大臣
「(Q.これはどれほど影響があったのか?(小泉氏の)どのような言葉が響いたか?)菅副総裁・小泉農林水産大臣との会話の内容は、ここでお話をすべきことだと私は思っておりません。ただ私も、小泉さんが初当選した当時、政調会長でした。あるいは内閣総理大臣と農林水産大臣という関係において、いろいろな議論を戦わせてまいりました。そこにおいて、もちろん彼がきのう、積極的に発言をしたわけではありませんが、いろいろな発言は示唆もあったということに尽きます」

 会見で厳しく問われたのは、辞任のタイミングが遅かったのではという点です。

「(Q.参議院選挙が終わって50日。もっと早く辞めるべきだったのではないか。この50日間、政治が止まったことで、むしろ“政治空白”が生まれた?)いろんな批判はあると思います。私はこの間、いかにして、関税交渉に一定の道筋をつけるということに政権として本当に力を注いでまいりました。ここに“政治空白”があったとは考えておりません。賃上げを確実に実行することは、政権としてどうしてもやり遂げたかった。ある意味不眠不休で、土日返上で、全力で皆さん方と共に努力してきたことについての自負はあります」

■総裁選はフルスペックか

 去年の衆議院選挙に続き、参議院選挙でも大敗し、自民党内から「石破おろし」の動きが広がる一方で、テレビや新聞の世論調査では、内閣支持率が回復傾向に。異例の「石破やめるな」デモまで行われましたが、力尽きました。

「“石破やめるな”というようないろんな動きもございました。ありがたいことでございました。それは私に対するご評価をいただいているというよりも、『きちんと仕事してくれ』ということではなかったかと思っています。党内でいろんな争いをするよりも『きちんと仕事してくれ』と。『国家・国民に対して仕事をしてくれ』というような、強い意志の表れではなかったかと思います

 会見の終盤、鳥取県の新聞社から地元へのメッセージを聞かれた際には、本音を漏らす場面も。

「5回目の出馬で総裁になることができた。去年の9月にどれほど(地元が)喜んでくださったことかという光景を、今も忘れることはありません。少数与党で党内で大きな勢力を持っているわけでもありません。多くの方々に配慮しながら、融和に努めながら、誠心誠意努めてきたことが、“らしさ”を失うことになった。何て言ったらいいんでしょう。『どうしたらよかったのかな』という思いはございます。地元に帰ることは1回しかできませんでした。ご期待に応えることができなかったこと、おわびを申し上げます」

 石破総理の退陣表明を受け、自民党の森山裕幹事長はこのように話しました。

「幹事長として総裁を支えきることができなかったことを、大変申し訳なく思います」

 新しいトップを選ぶ総裁選については、「できるだけ党員が直接参加する形を模索することが大事」と話し、フルスペックでの実施に前向きな姿勢を示しました。

(「グッド!モーニング」2025年9月8日放送分より)

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