2025-05-01 19:20:26 配信
赤沢大臣「ゆっくり急ぐ」2回目の日米関税交渉へ カギは「トウモロコシ」

■まもなく2回目 日米関税交渉
日本時間の2日未明に行われる2回目の協議。
関税交渉担当 赤沢経済再生担当大臣
「(Q.1週間ぶりのワシントンとなるが、到着されて今の思いは?)仕事をこなすだけです」
日本製の自動車に対し、25%の関税をかけたトランプ大統領。日本経済を支える基幹産業が窮地に立たされています。
赤沢経済再生担当大臣
「ある自動車メーカーのトップに話を聞くと、1時間に100万ドルずつ損をしていっている状況ですと。今、輸出すればしただけ損が出ますと。ゆっくり急ぐということをやらなきゃいけないと思っています」
1時間に約1億4300万円ずつ損を出しているという現実を目の当たりにして、石破政権はどんな交渉カードを使ってトランプ関税の見直しを迫ろうとしているのか。
交渉カードの一つとして浮上しているのがアメリカ産のトウモロコシの輸入を拡大するカードです。
自民党 森山幹事長
「トウモロコシは残念ながら我が国で生産が追い付きませんので、主にアメリカとブラジルに頼っているんですけど。アメリカの輸入が増えることは別に問題はないと思っております」
■“輸入拡大”でも農家は歓迎?
世界最大級のトウモロコシ生産国アメリカ。中西部に広がるトウモロコシ畑は「コーンベルト」と呼ばれています。
一方、日本はトウモロコシの大部分をアメリカから輸入。その約76%が家畜の餌(えさ)として使われる飼料用トウモロコシです。
北海道子実コーン組合 柳原孝二代表理事組合長
「牛、鶏、豚、すべての家畜が食べる。配合飼料は半分はトウモロコシ。コーンが入っていると考えていいと思います。家畜は基本的にトウモロコシがエネルギー源。畜産を育てるうえでの必要不可欠なものになりますね」
牛、鳥、豚を育てるうえで必要不可欠な飼料用トウモロコシ。実は日本国内での生産は統計上0%。すべて輸入に頼っています。そのため、輸入を拡大しても影響はないといいます。
柳原孝二代表理事組合長
「むしろ安定供給という意味では、アメリカ産が入ってくることは歓迎した方がいいかなと思います」
6年前、第1次トランプ政権の時に行われた日米貿易協定の交渉で、当時の安倍総理はアメリカ産のトウモロコシの輸入拡大を表明。トランプ大統領を喜ばせたことがあります。
トランプ大統領
「安倍総理がトウモロコシをすべて買うと言ってくれました。非常に大きな取引です。素晴らしい友人です。とても感謝しています」
ただ、実際にはアメリカから輸入された飼料用トウモロコシの量はほとんど増えていません。なぜ、増えなかったのでしょうか。
柳原孝二代表理事組合長
「『輸入を増やすよ』ということになったとしても、家畜が増えるわけではないので需要は増えないと。牛を増やすといっても増頭されなければ、餌の使用量は増えませんから」
飼料用トウモロコシの輸入を拡大してもそれを食べる家畜の数を増やすことが難しい現実。さらに、飼料用トウモロコシを長期間備蓄しておく場所がないという課題も指摘します。
柳原孝二代表理事組合長
「日本国内にストックしておく場所もないので、以前の安倍総理とトランプ政権の時も実際は入って来なかったと。わずかな量しか備蓄することができないという日本の物流体制になってしまっていますので」
輸入が拡大された場合、飼育費用が下がる可能性はある一方、牛肉、豚肉、鶏肉の価格が下がる可能性は低いとみています。
今回の交渉ではトウモロコシや大豆などのアメリカ産農産物の輸入拡大のほか、輸入自動車の安全審査に関する手続きを簡素化できる台数を今の5000台から増やす案の提示。
さらにはトランプ政権が北極圏への進出を見据えていることを念頭に砕氷船の造船技術での協力も検討されているということですが…。
ある外務省幹部は、こう話しています。
外務省幹部
「何が刺さるのかはやってみないと分かりません」
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