1審・2審で割れた判断 猪苗代湖ボート事故 最高裁 被告に「逆転有罪」の判決

2026/10/16 18:31
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【樋口陽一キャスター】

猪苗代湖で起きたボート事故の裁判。

最高裁は逆転有罪判決を言い渡しました。

東京の最高裁判所前には岩井記者がいます。
岩井さん、判決の際、法廷内の様子はどうだったのでしょうか?

【岩井ことみ記者】
最高裁判所では16日午後3時から判決の言い渡しが始まり、3分ほどで高須順一(たかす・じゅんいち)裁判長から判決の内容や理由が述べられました。

最高裁判所には出頭の義務がなく、法廷に佐藤被告の姿は見られませんでした。

定員44人の傍聴席は満席で、裁判長から判決が示された時、傍聴している人たちは静かに聞き入っていました。

この裁判の主な争点は2つで、
・人がいることを想定できるエリアだったか
・衝突が回避出来るまでの間に人を発見できたか
です。

それぞれについてどんな判断が下されたのか、まずはこの判決に至るまでをVTRにまとめました。

【VTR】

事故が起きたのは2020年9月6日。

【山澤渉記者(当時)】
「事故は遊泳可能なあちらのブイのはるか奥の沖で起きました。現在、警察が湖に潜って捜索活動を行っています」

猪苗代湖の中田浜(なかだはま)の沖合で、ライフジャケットを着て湖面に浮かんでいた4人にプレジャーボートが突っ込み、当時8歳の豊田瑛大(とよだ・えいた)君が死亡。

母親は足を切断するなどし、2人が大けがをしました。

【豊田瑛大君の母親(2021年7月取材時)】
「こっち側が湖で、ここからひざ下。ほとんど取れかかった状態で、おさえながら湖に浮いてた感じだった」
「死んじゃったのはわかったんですけど、最後に瑛大のことを抱きしめてあげたいなと思って、瑛大には届かなくて、結局触ることもできなかった」

道路での交通事故とは違い、証拠が残りにくい水上での事故。

事件が動いたのは発生から1年後でした。

【大槻忍記者(2021年9月15日当時)】
「佐藤容疑者を乗せた車が会津若松警察署に到着しました」

業務上過失致死傷の疑いで逮捕・起訴されたのはボートを運転していた佐藤剛(さとう・つよし)被告(49)。

2022年から裁判が行われてきました。

主な争点は、佐藤被告が
・人がいることを想定できるエリアだったか
・衝突が回避出来るまでの間に人を発見できたか
の2つです。

2023年3月、一審の福島地裁は「見張りを怠ったこと以外に、被害者らを発見できなかった原因は考えられない」などと、検察の主張が認められて禁錮2年の実刑判決が言い渡されました。

しかし、その後の仙台高裁では……。

【樋口陽一キャスター(2024年12月16日当時)】
「たったいま判決が言い渡されました。被告人は無罪、被告人は無罪です。原判決を破棄となりました」

二審の仙台高裁の判決は、逆転無罪に。

証拠などから、「被害者を間違いなく発見することが出来たと認定することは困難」「過失を認めることはできない」などと佐藤被告の刑事責任を認めず。

判断は最高裁に委ねられました。

9月に開かれた弁論。

高裁判決を見直す必要があると判断した際に開かれる手続きです。

検察は、高裁判決には事実誤認があり、「被害者らを容易に発見でき衝突を回避することは十分に可能だった」などとし、無罪判決の破棄を求めました。

弁護側は「被告人は、出来る限りの注意義務を果たしたと認められる」などと上告の棄却を主張しました。

【岩井ことみ記者(きょう)】
「最高裁判所の前には、多くの人が列を作っています。きょう被告に判決が言い渡される予定です」

そして……。

【裁判長】
「主文、原判決を破棄する」
「原判決は、第一審判決の事実認定が論理則、経験則等に照らして不合理であることを十分に示したものと評価することはできない」

【岩井記者】
判決について被告側の代理人弁護士はこのように話していました。

【被告側代理人・吉野弦太弁護士】
「これで有罪が確定してしまいましたから、非常に厳しい判決だったなと。率直な意見ですね」
「私の立場で申し上げれば、ずさんな捜査を裁判所が救済したと受け止めざるを得ないような、およそ考えられない様な捜査でしたので、その点は大変不満に思います」

【樋口キャスター】
岩井さん、被告側の代理人弁護士は「ずさんな捜査を裁判所が救済した」と強い表現をしていました。
争点となった2点について裁判所はどんな判断をしたのでしょうか。

【岩井記者】
今回、最高裁が示したのは「浮遊物を視認すれば人でないかを確認すべき注意義務があるとした一審判決の判断は正当である」という判断でした。

また、二審の判決について、「被害者らを発見することができなかった可能性があることを指摘するにとどまっている」としています。

【樋口キャスター】
一審判決が支持されて無罪判決が破棄されたにしても、ご遺族はいたたまれない気持ちではないかと感じますが、そのあたりはいかがでしょうか。

【岩井記者】
判決後、ご遺族からはこんなコメントがありました。

【豊田瑛大君の母親】
「思い出を振り返りたい気持ちは沢山あるんですけど、今でもそれができなくて……」
「判決が私たちにとっていい方向になっても、結局瑛大は戻ってこないということは変わらないので、区切りになるのかなというのは思っていたんですけど、実際判決出たときに本当にほっとして、長かったのが終わったなというのと、区切りになるなというふうに今は思えています」

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