2022-03-11
あたたかな朝。
会社の駐車場で、営業マンの同僚とすれ違う。
挨拶を交わしたら、
「いい天気ですね。
きょうはひとり、海、見に行きたいなぁと思って」と彼。
「そうだね」と笑いながら答える私。
何気ない会話をして、
私は局へ向かい、彼は海ではなく営業先に車を走らせた。
11年前、彼は記者。
震災、原発事故を最前線で取材し、
時に怒り、時に嘆き、ペンを取り続けた。
それぞれが、それぞれの思いで3月11日を迎える。
空を見上げると、春の空は透き通っていて、
きょう海を見たいという彼の気持ちが
分かるような気がした。
11回目の春。
海の向こうでは原発が戦争に利用されている。
一度事故を起こしたら、途方もない影響をもたらすことを
この11年間、目の当たりにしてきただけに
憤りと無力感にかられる。
福島のすべての人たちの穏やかな日常と、
戦火の子どもたちが核の脅威にさらされず
どんな夜も安らかな眠りにつけることを
ただただ願いたい。
そんな2022年3月11日を過ごしている。