草間彌生 版画の世界―反復と増殖― 草間彌生 版画の世界―反復と増殖―

閉幕御礼

「草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」は、23日に閉幕を迎えました。

本展では、松本市美術館の全面的な協力により、世界的前衛芸術家・草間彌生さんの初期のリトグラフから最新作まで、約160点の版画作品を展示しました。

版画という技法を通じて、草間彌生さんの作品が生み出す、まばゆい色彩、無限に広がる水玉や網目、そして強い生命力に満ちた独創的な世界に触れることができる貴重な展覧会になりました。

本展の開催中には、草間彌生さんの訃報が届き、私たちに大きな驚きと深い悲しみをもたらしました。この展覧会を通して、草間さんの芸術とその歩みに思いを寄せてくださった方も多くいらっしゃったことと思います。

「愛はとこしえ」と訴えつづけ、苦難の中でも芸術の力を信じ、尽きることのない創造力と表現力で生み出されたその作品は、多くの皆さまの心に新たな感動や発見をもたらしてくれました。

改めて、ご来場くださいました皆さま、本展の開催にご尽力いただきました関係者の皆さまに、そして唯一無二の芸術を私たちに残してくださった草間彌生さんに、心より感謝申し上げます。

草間彌生 版画の世界 -反復と増殖- 福島展実行委員会 (福島県立美術館、株式会社福島放送、株式会社福島民報社)

KFB福島放送 開局45周年記念「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」

会期・会場

2026年7月18日(土)〜9月23日(水・祝)

福島県立美術館(福島市森合字西養山1番地)

開催概要

展覧会名 KFB福島放送 開局45周年記念
「松本市美術館所蔵 草間彌生 版画の世界―反復と増殖―」
会期 2026年7月18日(土)〜9月23日(水・祝)
開館時間 9:30~17:00(最終入館は16:30まで)
休館日 月曜日(ただし7/20、8/10、9/21は開館)、7月21日(火)、8月12日(水)
会場 福島県立美術館(福島市森合字西養山1番地)
アクセス https://art-museum.fcs.ed.jp/access
主催 草間彌生 版画の世界 -反復と増殖- 福島展実行委員会
(福島県立美術館、株式会社福島放送、株式会社福島民報社)
特別協力 松本市美術館
企画協力 朝日新聞社
協力 株式会社草間彌生
協賛 阿部出版株式会社 トヨタカローラ福島株式会社 株式会社東邦銀行
後援 福島県 福島県教育委員会 福島市 福島市教育委員会 福島県商工会議所連合会 福島県商工会連合会 福島県観光物産交流協会 福島県私立中学高等学校協会 ラジオ福島 ふくしまFM 福島コミュニティ放送FMポコ khb東日本放送 YTS山形テレビ UⅩ新潟テレビ21 河北新報社 山形新聞社 新潟日報社

初期作品から代表作までを展観する草間彌生、初の大規模版画展

本展は世界的前衛芸術家・草間彌生(1929~2026)の版画の世界をご紹介する展覧会です。
草間彌生は1993年第45回ヴェネチア・ビエンナーレにおいて、日本を代表する作家として世界の舞台へと立ちますが、その前後で積極的に版画制作に取り組んだことも、現在の評価につながる大きな原動力となりました。

草間彌生は1979年に版画作品を初めて発表します。そこには米国から帰国後の死や苦悩をテーマにした作品とは対照的に、華やかなモチーフが色彩豊かに表現されています。それまでの抽象的な表現に加え、南瓜、ドレス、葡萄、花や蝶など日常的なモチーフが網目や水玉で構成され、明瞭な色彩をまといます。網目や水玉の増殖が創作活動の根幹にあった草間と、複製芸術である版画は必然的に出合ったと言っても過言ではないでしょう。

近年は、富士山を主題に浮世絵の木版画の技法を用いた連作や、モノクロームのドットによる抽象的な作品など、版画表現の領域を広げ続けています。本展では、松本市美術館の全面的な協力により、初期のリトグラフから最新作まで、約160点の版画作品を展示いたします。版画という技法を通じて、草間彌生の豊かな表現世界とその変遷をご覧いただきます。

図録・グッズ 音声ガイド

福島会場では【アプリ配信版(iOS/Android)「聴く美術」】での提供となります

専用ガイドなど実機のご提供はございませんのでご注意ください

みどころ

わたしのお気に入り

《靴をはいて野にゆこう》1979年、シルクスクリーン

《靴をはいて野にゆこう》
1979年、シルクスクリーン

1929年、草間彌生は長野県松本市で種苗業を営む旧家に生まれます。草間は花園に囲まれた少女期を過ごし、スケッチをするのが日課となっていました。その類まれな観察眼とデッサン力でいつしか世界を舞台に闘うことを決意します。

1957年、28歳で単身渡米。網目、水玉といった独自のイメージを確立し、約16年間、ニューヨークを中心に創作活動を行います。しかし、体調や心の不調を感じ、1973年に帰国。この時期の作品には、苦しい胸のうちを反映するように、「死」を想起させるものが多く存在します。版画作品が登場したのもその頃からです。

版画作品には、死や苦悩を前面に押し出した作品とは対極にあるような華やかなモチーフが色彩ゆたかに表現され、生命力に満ちています。

輝きの世界

《帽子(Ⅰ)》2000年、シルクスクリーン、ラメ

《帽子(Ⅰ)》
2000年、シルクスクリーン、ラメ

草間は渡米後、1959年に発表した網目でキャンバスを覆いつくす絵画「無限の網(ネット・ペインティング)」シリーズによって、画家として鮮烈なデビューを飾ります。そして、1965年頃からは、電飾と鏡を用いた立体作品の制作を始めました。「ミラールーム」に代表される光の彫刻作品です。合わせ鏡によって明滅しながらどこまでも増殖する光(水玉)は、草間の永遠なるイメージを代弁しているようです。

その輝きの世界は版画作品にも見ることができます。「無限の網」は、心の中のイメージと視覚的、体感的な経験の堆積を整理し、極々シンプルなかたちへ集約したものと言えます。故郷・松本のせせらぎ、渡米時に飛行機の窓から見た太平洋の揺らめきもその要素になっています。版画作品のラメの粒子による瞬きはそれらの記憶と通底しているのかもしれません。

愛すべき南瓜たち

《南瓜(Ⅰ)》1986年、シルクスクリーン

《南瓜(Ⅰ)》
1986年、シルクスクリーン

草間彌生は植物に囲まれて育ちます。家の周りに広がる畑に出かけてはスケッチをする少女時代を過ごします。特にお気に入りは南瓜。その太っ腹で愛らしい姿に惹かれ、幾度も幾度も描いてきました。時を経て、心の葛藤を自己分析によって昇華させた水玉や網目が、草間の幼少期の記憶にあった植物たちと結びつきます。南瓜など身近なモチーフが水玉を纏(まと)うことで鑑賞者は草間彌生の表現に寄り添いやすくなったのかもしれません。鑑賞者と草間の心をつないだ南瓜は、今なお草間芸術の代表的なイメージとして君臨し続けています。

境界なきイメージ

《波(1)》1998年、シルクスクリーン

《波(1)》
1998年、シルクスクリーン

草間は、キャンバスや彫刻作品、さらには空間全体を水玉や網目など同じパターンで覆いつくすことで、自身の中から浮かび上がるイメージは無限であることを高らかに宣言してきました。幼少期から共存を強いられた得体の知れない内的イメージを、草間は芸術によって自らの個性に昇華させることに成功します。それは葛藤と分析を繰り返し、永い闘いの末に手に入れた成果でもありました。

常同反復によるイメージの増殖が創作活動の根幹にあった草間と、複製芸術である版画の出合いは必然だったのかもしれません。それまでの画面上、または同一空間でのイメージの増殖であったものが、版画作品の登場により、草間自身の手を離れた増殖を可能としたと言えるでしょう。

単色のメッセージ

《水玉の集積》1994年、エッチング

《水玉の集積》
1994年、エッチング

シルクスクリーン、リトグラフは草間彌生の原画をもとに刷師が版を作成していますが、本章で紹介するエッチングの作品では、草間自身が銅板に線を描いているため、より直接的なイメージの再現ができていると言えるかもしれません。指先のわずかな振幅や強弱さえも版に刻まれ、それをあえて補正せずに刷り上げられています。小さな銅板にギリギリとねじ込んだ草間のイメージは、色彩のない単色の表現によって、より鮮明に浮かび上がります。

振り返れば、草間芸術の大きな転機にはいつもモノクロームの作品が誕生してきました。新たな表現領域に踏み込むにあたり、まず形状を徹底的に突き詰め、湧き上がって来るイメージを完全にその手中に捉えた後、色彩が溢れ出してきます。土台としてのフォルムが揺るがないからこそ、草間の色彩は天高く舞い上がることができるのでしょう。

愛はとこしえ

《早春の芽生え》2005年、シルクスクリーン

《早春の芽生え》
2005年、シルクスクリーン

「愛はとこしえ」は2004年から約4年をかけて制作されたシリーズで、黒色のマーカーペンで100号のキャンバスに描いた50点を原画としたシルクスクリーン作品です。

顔や目、植物など具体的なモチーフが前面に押し出され、草間芸術の深遠性を知らしめます。

帰国後の版画作品によって、つなぎ留められた記憶は、「愛はとこしえ」によって表出しました。それは、かつて幼少期を過ごした故郷・松本の花園で想像した数多のイメージで、脈々と草間の中に息づいていた大切な記憶であったのかもしれません。

本シリーズは、その後のアクリル画「わが永遠の魂」シリーズへと繋がり、最新シリーズ「毎日愛について祈っている」へ発展を続ける近年の躍進の起点となった作品でもあります。

SNS・関連ページ

イベント

ギャラリートーク

※終了しました

日時 2026年7月18日(土)13:30~14:30

※申込不要、参加費無料、ご希望の方は時間までに、1階ロビーにお集まりください。入場には企画展チケットのご提示が必要です。

会場 福島県立美術館1階企画展示室
内容 本展を手がけた松本市美術館学芸員 渋田見彰さんが、さまざまな切り口で作品の見どころや楽しみ方を紹介します。

講師プロフィール

澁田見 彰

松本市美術館学芸員(専門分野:現代美術)

松本市美術館の開館した2002年から草間彌生の常設展示を担当。常設展示のほか、特別展も手がける。「草間彌生 魂のおきどころ」(2005年)※東京国立近代美術館等との共同企画、「草間彌生 永遠の永遠の永遠」(2012年)※国立国際美術館等との共同企画、「草間彌生 ALL ABOUT MY LOVE」(2018年)、「草間彌生 版画の世界」(2022年)。

著書『草間彌生が生まれた理由(わけ)』(2014, ㈱市民タイムス)

スペシャルトーク&刷りの実演・体験「シルクスクリーンの面白さ」

※終了しました

日時 2026年8月9日(日)14:00~15:30

※申込不要、参加費無料、先着順・定員100名。

入場には企画展チケット(または半券)のご提示が必要です。

ご希望の方はシルクスクリーン刷りの体験が可能です。体験希望の方は、当日受付でお申し付けください。

会場 アオウゼ大活動室1・2(福島県福島市曽根田町1-18 MAXふくしま4階)
  • 福島県立美術館より 徒歩16分
  • JR福島駅東口より 徒歩5分
  • 福島交通飯坂線曽根田駅より 徒歩1分
  • 福島交通路線バスMAXふくしま前より 徒歩2分
内容 草間彌生の版画をはじめて手がけた刷り師であり、数多くの現代美術作家と協働で制作を行ってこられた石田了一氏をお招きします。多様な現代版画作品をどのように仕上げられたのか、技法的な観点からお話いただきます。また、シルクスクリーン版画刷りの実演と体験も行います。

講師プロフィール

石田了一

石田了一 Ryoichi Ishida

シルクスクリーン刷り師・石田了一工房主宰。

1947年北海道根室生まれ、1970年美學校で岡部徳三氏に師事。1971年、宇佐美圭司展(南画廊)で発表された<ボカシの40版>の版画で工房をスタート。これまでにアンディ・ウォーホル、安藤忠雄、磯崎新、草間彌生、熊谷守一、倉俣史朗、桑山忠明、五味太郎、菅井汲、関根伸夫、田名網敬一、寺山修司、鶴田一郎、萩原朔美、毛綱毅曠、元永定正、脇田愛二郎、脇田和 他、様々なジャンルのアーティストのシルクスクリーン作品を手掛ける。

記念講演会「草間彌生の芸術と版画 線と植物」

※終了しました

日時 2026年9月5日(土)13:30~15:30

開場:正午

※整理券をお配りする可能性があります。ご了承ください。

会場 福島県立美術館講堂

※申込不要、聴講無料、先着順・定員250名

内容

草間彌生の創作活動は、絵画や立体、コラージュや文学作品等、多岐にわたるジャンルを横断して継続されてきました。その作品は、多くのファンを魅了するだけでなく、美術史研究の分野でも国際的に注目されています。

近年再評価が高まる草間彌生の活動は、どのように解釈可能なのでしょうか?本講演では、女性アーティストの創作活動に詳しい中嶋泉氏にお話しいただきます。

講師プロフィール

中嶋泉

中嶋 泉 Nakajima Izumi

大阪大学大学院人文学研究科 准教授

主に近現代美術、フェミニズム、日本の美術の領域で研究をおこなう。国際基督教大学卒。一橋大学大学院言語社会研究課修士課程、リーズ大学大学院修士課程を経て、2013年度一橋大学大学院言語社会研究科にて博士号取得。近著に『アンチ・アクション―日本戦後絵画と女性画家』(ブリュッケ、2019年)、Past Disquiet: Artists International Solidarity and Museums-in-Exile (University of Chicago Press, 2018)、「エロスと美術1960―1980 岸本清子の創作を見る」(月曜社、2023年)など。

ワークショップ

シルクスクリーンでオリジナルトートバッグを作ろう!

※終了しました

シルクスクリーンとは、細かい孔(あな)のあいたメッシュ状の版に、インクが通過する部分と通過しない部分を作り、孔からインクを版の下に押し出して印刷する版画技法です。草間彌生さんもたくさん作品を作っているシルクスクリーン技法で、自分だけのオリジナルトートバッグを作ってみませんか?

講師 所 彰宏氏(版画家)
日時 ① 8月1日(土)10:00~14:00
② 8月2日(日)10:00~15:00

※お昼休憩をはさみます

対象 ①小学生~中学生10名程度
②高校生以上12名程度

※小学4年生以下は保護者同伴

材料費 ①2,000円 ②3,000円
会場 福島県立美術館 実習室
申し込み締め切り ①のみ受付中

※先着順

線から生まれる表現~エッチング~

※終了しました

銅板に描画した線を腐蝕させる「エッチング」という技法で、それぞれが考えた下絵を元に版を作ります。筆圧や腐蝕時間によって変化する線の調子を楽しみながら、20×15㎝程度の作品をつくりましょう。

講師 安部直人氏(版画家・当館所蔵作家)
対象 中学生以上10名程度
日時 9月6日(日)、12日(土)、13日(日)
10:00~16:00

※3日間連続

※お昼休憩をはさみます

材料費 3,000円
会場 福島県立美術館 実習室
申し込み受付期間 7月18日(土)~8月2日(日)

※申し込み多数の場合抽選

お問い合わせ

KFB福島放送
営業推進部 024-933-5856(平日10:00~17:00)

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