笠置わか菜の徒然letter

3月11日に

2020.03.11

春の細い雨が降る中、重機の音が響く。
駐車場の一角を作業員が掘り起こしていく。

先日、私の住む地区でも、
除染で出た土を掘り出す作業が始まった。
一時的に、自宅保管を余儀なくされた土だ。

家の一角に除染の土を埋めるというのは
当時なかなか腑に落ちるものではなかったが、
いつしか時が違和感を均していた。



そして9回目の春である。


あの日の揺れ、それからのこと。

忘れるはずがないと思っていた記憶は、
庭先に埋められたあの土のように
いつのまにか日常という地中に埋もれ、
少しずつ薄らぎつつある。

9年という年月を理由にするのは簡単だが、

「本当にそれでいいの?」と

掘削機で数年ぶりに掻き出された土に
問いかけられているような気がした。

3月11日。

追悼の思いとともに、
埋もれかけた記憶を掘り返す。

もう二度と犠牲者は出したくないと思ったこと。
故郷がいかに尊かったかということ。
本当に大切なものは、案外少なかったこと。

あの日の自分はいつも何かを教えてくれる。

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