安藤桂子のアン・ドゥ・トロワ

3月11日

2020.03.11


帰還困難区域の一部が解除された大熊町を訪れたら、

梅の花が咲いていた。

近くでは家の解体が進められていて、

重機が壁や柱を崩していく音が響いていた。

何度聞いても慣れない、と思う。

家を壊す音というのは、

例えるならば

割り箸を無理やり折ったときのような

少し甲高い、耳につく音に似ていると思う。

人が住んでいた大切な場所が、

いとも簡単に、

乾いた音を立てて崩れていく様子を見るのは耐え難い。

東日本大震災から9年の月日が流れた。

目の前のことに日々追われている中で、

3月11日は

少し立ち止まって、これまでのことに向き合う時間だと感じている。

思い出すのもつらいことが

抱えきれないほど起きてきた。

大切な人やものを無くした人たちの痛みは

消えることがないのかもしれない。

それでも今、こうして前に進んでいる。

新型コロナウイルスによって、

不安が生まれている。

不安は伝染し、デマが生まれ、そして人々がさらに不安になる。

震災と原発事故当時も不安の連鎖があらゆるところに生まれたように思うし

避難所などで目の当たりにしてきた。

あの時、どうやって乗り越えてきただろうか。

今また、試されているように思う。

安藤桂子のアン・ドゥ・トロワ|アナウンサーブログ

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