行きはよいよい帰りは酔い酔い
「大丈夫だ、今のヘリは大きいから酔わねぇ。」
とおなじみの会津弁で話すのは、カメラマンのNさん。
「あれは遊覧飛行だよ。気持ちいいぞ。」
と笑うのは敏腕ディレクター。
「ほとんど揺れないし、酔わないっすよ。」
これは、一緒に乗るカメラマンE君の弁。
そんな言葉を鵜呑みにして
大きな期待と少々の不安と万が一の恐怖と一緒に
人生初のヘリコプターに乗り込んだ。
行き先は秋の装いの安達太良山、吾妻山、磐梯山。
紅葉真っ盛りの山々をリポートするのが昨日の任務だった。
ブルルルルウウと轟音をたてかたと思ったら、
不意にふわりと浮かび、地上がどんどん遠ざかる。
福島空港からわずか10分程で
安達太良山上空付近に到着。
なだらかな傾斜が一面紅葉している。
ポツリポツリと一際赤く色づいた木が見える。
「ナナカマドでしょうか・・・山肌が水玉模様のようにも見えます」
頂きで休む登山客に手を振りながら言葉を紡ぐ。
上機嫌だったのはこの辺りまでだった。
撮影のため、高度を上げたり下げたり。
同じところを何度も旋回する。
それに伴い、どんどん口数が減っていく。
頭が回る。
目が回る。
胃の中も回る、回る、回る・・・
酔わないなんて、嘘じゃない。
あぁ、みんなの嘘つき・・・
秋の光を受けて真っ青に輝く猪苗代湖と
それを見下ろすようにそびえる磐梯山。
頂上付近がうっすらと秋化粧している。
そんな絶景が逆に恨めしい。
結局、猛烈な気持ち悪さと戦いながら
2時間の飛行を耐え忍んだ。
カメラマンのN君曰く、
地上に降り立ったときは顔面蒼白だったらしい。
こちらが着陸直後の1枚。
精一杯笑っているものの、胃の中は上を下への騒ぎ(笑)
局に戻り、撮影したVTRを見ながら原稿を書く。
想像以上の雄大な映像にしばし見とれ、
カタカタとパソコンに向かいながら、こんなことを考えた。
今度乗るなら桜の季節かなぁ…
大混雑の花見山を上から見下ろすのも悪くない。
ハハハ。喉元すぎればなんとやら…
次は酔い止め薬、必須で!
人生初のヘリコプターの話です。
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