夜の本の会合
「よいしょっと」
薄暗い喫茶店のテーブルに
紙袋からおずおずと取り出されたのは、本、本、本。
自分の愛読書を教えあおう。
誰かのふとした発案で、
秋の入り口のある夜、気心の知れた3人で本を囲むことになった。
特に打ち合わせをしたわけでもないのに
それぞれがうずたかく本を積み上げると丁度同じ高さになり、
思わず笑ってしまう。
小説、絵本、写真集、エッセイ…
それぞれがそれぞれの本棚から選び抜いた、寵愛の十数冊が並ぶ。
自分の好きな本を紹介するのは、
心の芯の部分を覗かれているようで、少々気恥ずかしい。
自分の手の内を明かすようなものかもしれない。
でも、自分では手に取らない本とめぐり合えるチャンスとばかりに
交代でプレゼンテーションが始まった。
ポツリポツリとその本を選んだ訳や
出会ったきっかけを話していくと、
自分でも気づかなかった傾向が見えてくる。
どうやら私は
旅をしていて、少し孤独で、少し寂しさを含んだ男の話が好きなようで、
持ってきた本の半数近くがそのカテゴリーに当てはまるものだった。
それって好きな男性の好みを反映しているのかもよ…
なんて からかわれるのもまた愉し。
おずおずと始まったはずの本の会。
結局、喫茶店の閉店時間まで話は尽きなかった。
帰り際。
来年またこの会合を開こうという話になった。
まだ見ぬ新たな一冊に出会っているかもしれないし、
心境の変化で寵愛本も何らかの変化を遂げているかもしれない。
何も変わってないことだってあるだろう。
1年後、夜の喫茶店でまた本が積み上げるのが
今から楽しみだったりする。
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