池田 速人

おめでとう!!!!…女子モーグル上村愛子選手②

モーグルのW杯年間総合優勝を果たした上村愛子選手(日本人初)!!!!

前回から、私がこれまでに取材した内容をベースに、上村選手・初優勝の要因を

分析していますが、今回は後編です。

コーチのヤンネとの信頼関係から精神的な安定と成長が著しい話とターンと

ジャッジの関係について前編ではお話しましたが…

 

欠かせない要因の4つ目が『バックフリップのマスター』です。

バックフリップとは後方宙返りのことで、上村選手が今シーズンみせているのは、

スキー板を十字にクロスさせながら後方宙返りをする『アイアンクロス・

バックフリップ』。

ところで、なぜこの技がポイントなのか?というと、トリノ・オリンピックの時に

話題となった『コークスクリュー720』をマスターする話に戻らなければ

いけません。前回も書いたように3Dエアーが解禁(2002年以降)されてから、

エアーの進化は選手にとって大きな課題でしたが、日本代表チームは

この取り組みが遅れたのです。

それは、従来の技でも同じ得点難度のモノもあるし、ターン・スピードでカバー

出来ると判断したからですが…他国の選手は予想以上に3Dをマスターし、

ジャッジも『同じ難度なら、3Dに高得点』をつける状況に変わったのです。

そこで日本代表は、当時ドミニク=ゴーチェ氏をテクニカル・コーチに迎え、

エアーの強化に乗り出します。

その際、女子選手は比較的マスターしやすいバックフリップが主流(現在も)だった

ため、ドミニクも上村選手にそれを薦めました。

しかし上村選手は拒みます。

『後ろに倒れる感覚が、一瞬コースが見えなくなるのが怖い…』

という理由からでした。

バックフリップは頭を後ろにそらすため、視線がコースから外れます。

対照的にコークスクリューは『マスターは難しいけど、視線は常にコースから

外れないので怖くない。そして人と違う技をしたいからコークに挑戦している』と、

当時、上村選手は話してくれました(そのコークスクリューをマスターする過程で

ターンの練習量が減っていき、②の話につながるのですが)…

ところが、そこまでして避けてきたバックフリップを今シーズンは完璧にマスター!

それが自信にもなったでしょうし、バックフリップの方が着地が簡単で、早くターン

動作に戻れるので、スピード点のアップにもなったのです。

 

そして最後の要因は、⑤の『ライバルの欠場』です。

今シーズンは、トリノ五輪金メダリストで、2年連続W杯年間総合優勝をしていた

ジェニファー=ハイルが欠場しました。

彼女のコーチであり、前日本代表テクニカル・コーチのドミニクによると、

シーズン前に左ひざと腰を痛めたこと。さらに精神的にバーンアウトしないよう、

今シーズンは大事をとって欠場したとのこと。 

上村選手は、ニコラ=スドバ選手が今シーズンはライバルでしたが、

そのニコラの実力は、ジェニファーに比べて差があります。

つまりジェニファーがいたら、上村選手との優勝争いは、もっと激しいもの

になっていたかもしれません。

そういう意味では、ジェニファーが復帰(カナダ人選手は2010年のバンクーバー

五輪に向け、気合が入ってます)した来年の世界選手権猪苗代大会2009は

目が離せなくなるでしょう!

 

以上の5つが、上村選手がW杯年間総合優勝した要因と私は分析します。

ただ私が一番嬉しい!スゴイ!と思うのは、今回の優勝はもちろん、

『長野五輪から10年たった今でも、上村選手が進化し続けている!』

ということです。彼女にとって4度目のオリンピックとなる2010年のバンクーバー

まであと2年ですが、もっと進化するんじゃないか!もっとスゴイ滑りで、

今度こそメダルじゃないか!っとワクワクさせてくれることです!!

 

長くてマニアックになりましたが、この後編を持って、今回の喜びの表現と

させていただきます。

ご覧になったみなさん、本当にありがとうございました!

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