笠置 わか菜

「わが母の記」

記憶は自分の都合のいいように虫食いになる。

 

例えば、些細な喧嘩やわだかまりや

小骨のように引っ掛かっていたものは

気がつけば、忘却という名の小さな虫がむしゃむしゃと食べ

残ったものは、漠然とした淡い幸福感だったりする。

 

 

明日から公開される映画「わが母の記」を一足先に観た。

 

昭和の文豪・井上靖の自伝的小説をもとにしたストーリーで、

年老いていく母と小説家を軸に

ぶつかり合いながらも互いを思い合う、家族の絆を描いている。

 

やかましくて、
煩わしくて、
時にどうしようもなく、すれ違う。

映画では家族の生々しさが描かれていた。

 

その生々しさは、身につまされるほど思い当たる節があり

くさびみたいに胸に刺さる。

 

時代背景も生活環境も違うのに、なぜこんなに共感できるのか。

自分でも不思議だったけれど、

それはやはりきっと家族を描いているからなんだろう。

 

スクリーンの中の家族を見つめながら

虫に食われ失くしかけた自らの記憶をふっと思い出し、

笑ったり、涙したり、少し悔んだりしていた。

 

交わされる何気ない言葉。

日本の四季の濃淡。
食卓のみずみずしさ。

 

全てが儚くて美しく、

古き良き日本の映画を見ているようだと思っていたら、

劇中、小津安二郎の映画の話がちらりと出てきて

あぁ心憎いなぁと思う。

 

かねてからこの映画を観たいと言っていた母を誘って、

もう一度観に行こうかなと思っている。

 

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話は変わりまして・・・

 

去年、制作したドキュメンタリー番組

テレメンタリー「母親たちの選択~放射線に引き裂かれた暮らし」が

2011年テレメンタリー優秀賞を頂きました。

 

新BS局「D-Life」で今週末29日(日)朝5時30分から再放送されます。

無料で視聴できますので、よろしければ是非ご覧ください。

2012年05月

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